月夜に笑った悪魔
「好き。すげぇ好き。……やっと、ちゃんと手に入った」
唇が離れると背中に手がまわり、強く抱きしめてくれる。
聞こえてくる声のトーンはいつもより高く、なんだか嬉しそう。
私も彼の背中に手をまわして、強く抱きしめ返した。
「……おまえ、まじで罪深いオンナだよ」
至近距離で落ちてくる声。
「な、なにさ、急に……。私なにもしてない、よね?」
たぶん。
罪深いと言われるほどなにもしてないと思うんだけど、なんなんだ。
「俺の初恋奪って消えやがって。やっと再会したと思ったらカレシいるし、そいつは月城組のクソ野郎だし……」
聞こえてくる声に思い出す。
以前、暁から聞いた話によれば彼は私のことを小1の時に好きになってくれて……。
それが初恋、だったんだ。
っていうか、ちゃんと聞いてなかったけど……
「昔、会ってたの……?」
残念ながら私はまったく記憶にない。