月夜に笑った悪魔
いつも学校で使用させてもらってるところ。
今日は暁はシゴトがあって欠席だから、いない。
……今日ばっかりはいなくてよかったと安心。
見つかったら怒られるかもしれないから。
「入って」
中へと入るように促されて、入ると。
「暁……1年の、一条くんは元気にしてる?」
聞こえてきたのは、予想もしていなかった言葉。
「へ?」
怒られると思って身構えていたから、間抜けな声が漏れた。
……暁?
今、暁って言ったよね!?
「実は、僕は暁の叔父にあたる者でね。彼の母の、兄なんだ」
驚いている私に説明してくれる先生。
それは……まさかの。
「え!?」
確かに、暁が以前言っていた。
『社会科のセンセーが親戚で、鍵もらってる』って。
その親戚が、永瀬先生!?
暁の亡くなったお母さんの兄なんだ……!
「叔父、といっても僕は教員という立場だから一条くんの家とは今はあまり関わりはないんだけど……。
一条くんのことは小さい頃から知ってて、学校でたまたま再会してね。彼から日南さんのことも聞いたよ」
先生は優しい笑顔を向けると、扉を閉める。