月夜に笑った悪魔



……先生、私のことも知ってたんだ。
暁、私に先生のこと教えてくれてもよかったんじゃ?


「そう、だったんですね」
「仲良さそうにしてるみたいでよかったよ。ほら、言い方は悪いかもしれないけど……彼は放っておいたらすぐ死にそうだろう?
だから彼の近くに見ていてくれる誰かがいるのは、すごくいいことだと思ってね」


確かにそうだ。
暁は放っておいたらやばい。


月城組のことになると暴走して、いつかいなくなってしまいそう。


「最近、私は朝ちょっとしか会っていないんですけど暁は元気ですよ。家のシゴトで忙しそうにはしてますけど」


私はにこりと笑って返した。
そうすると先生は安心したような表情をして。


「そっか。教えてくれてありがとう」
「いえ!」


用事ってこれだったのかな。
怒られるって思ってたけど──……。



「じゃあ聞いたところで、はい。これは日南さんのぶんの課題。
あとは明日の放課後から補習があって、来週追試だから頑張ってね」


渡されたのは、少し厚みのある冊子。
表紙には、『歴史の課題』と書いてあって提出期限も書いてある。

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