月夜に笑った悪魔
……あはは。
怒られはしないけど、こっちの用事もちゃんとあったわけか。
世の中そんなに甘くないな。
赤点をとっても見逃してもらえないんだから。
「日南さん、前回のテストも前々回のテストも赤点だっただろう?このままじゃ留年しちゃうよ?」
笑顔で言う先生だけど、恐ろしい言葉を言われた。
……私が悪いんだけど。
留年、なんて恐ろしすぎる。
「はい……。頑張ります」
私がそう返したところで。
──ガラッ!
と大きな音を立てて開いた扉。
「センセー!ごめん!寝てて遅れた!」
同時に声も聞こえてきたから、反射的にそっちに目を向ければ、そこにいたのは……はやと。
緩められたネクタイ、シャツのボタンは上からいくつも開いていて着崩された制服。
息を乱しながらそこにいる金髪の男性は、確かにはやと。
本当の本当に、同じ学校だった。
「すず!!学校で会うのははじめてだな!?」
はやとの瞳は私を捉えて、彼はこちらまで駆け寄ってくる。