月夜に笑った悪魔
半信半疑だったが、その公式に当てはめて問題を解いてみると…………驚くことに、ちゃんと解けた。
「なんで!?なんで学年ちがうのにわかるの!?」
暁はまだ1年生。
ぜったい習ってないだろうに……。
「高3までのベンキョーは、高校入学する前に春樹に教えてもらった。うちのガッコってテストの点数さえよければそんなに文句言われねぇだろ?
あとはそこそこの出席日数あれば進級できるし」
口角を上げて「次の問題やるぞ」と進めようとする彼だけど……すごいことを聞いた。
私より頭いいじゃん。
失礼だけど、暁って勉強できなさそうな顔してるのに……。
私のほうが、おねーさんなのに……。
「あ、次やる前にご褒美もらう」
顔を上げると、急に私に顔を近づけ。
唇に触れた感触。
……久しぶりのキス。
これが、ご褒美?
教えたご褒美ってことだよね!?
頬に手が添えられるからすぐに体が熱くなって、ドキドキと胸が高鳴る。
たった1回、唇に一瞬だけ触れるキスだったのに、心が幸せな気持ちで包まれた。