月夜に笑った悪魔
「30分後に行くことになったから、続きしよ」
彼はそう言うと自分のスマホをポケットへとしまう。
暁がいられる時間は2時間だったのに、30分と短くなってしまった。
今の電話は、急ぎの用事を伝える電話だったんだ。
「……うん」
こくりと頷けば、彼は腰をおろした。
私の背後に座って、密着するように……。
温かさに体が包まれる。
ドキドキがぜんぜんとまらない。
……続きって、なにするんだろう。
そういえば私さっき、足触られてたんだよね!?
ドキドキしすぎているせいで、体が動かない。
「ベンキョーみてやるつもりだったんだけど……30分イチャイチャしたいって?」
耳元で聞こえてくる声。
「へ?」
思わず出た間抜けな声。
暁は……勉強を見てくれる気だったんだ。
こうやって座ったからイチャイチャするものかと……。
って!
いけないいけない!
忘れちゃいけない、課題の存在……っ!
「……勉強します!教えてくださいっ!」
私は慌ててシャーペンを握った。