月夜に笑った悪魔


暁はこの体勢のまま教えてくれた、けど。

この体勢で、耳元で声が聞こえてくる状況では……ぜんぜん頭に入ってくるわけもなく。


「ちゃんと聞いてる?」


髪を耳にかけられて。
左耳をぱくりと食まれた。


「っ……!」
「顔真っ赤」


私の顔を見ると彼はふっと笑う。


「隣座って……」


あまりにも集中できないから隣をぽんぽん叩いてみる、が。


彼はこの状況を楽しむように、移動することなく引き続き教えてきて……30分密着したまま過ごした。




ぜんぜん進まなかった課題。


だけど、暁が行ってしまったあとに冊子をよく見てみたら見つけたのは……きれいな字で書かれた解き方。

それは、暁が書いてくれたであろうもの。


それを見ながらやったら、ちゃんと解くことができたのだった。


本当に感謝感謝。
< 314 / 615 >

この作品をシェア

pagetop