月夜に笑った悪魔
暁はこの体勢のまま教えてくれた、けど。
この体勢で、耳元で声が聞こえてくる状況では……ぜんぜん頭に入ってくるわけもなく。
「ちゃんと聞いてる?」
髪を耳にかけられて。
左耳をぱくりと食まれた。
「っ……!」
「顔真っ赤」
私の顔を見ると彼はふっと笑う。
「隣座って……」
あまりにも集中できないから隣をぽんぽん叩いてみる、が。
彼はこの状況を楽しむように、移動することなく引き続き教えてきて……30分密着したまま過ごした。
ぜんぜん進まなかった課題。
だけど、暁が行ってしまったあとに冊子をよく見てみたら見つけたのは……きれいな字で書かれた解き方。
それは、暁が書いてくれたであろうもの。
それを見ながらやったら、ちゃんと解くことができたのだった。
本当に感謝感謝。