月夜に笑った悪魔
手首から手が離されたと思えば、今度は重なる手。
私の指の間に彼の指が絡んで、ぎゅっと握る。
伝わる体温が熱い。
そしてやっぱり……気持ちいい。
暁のキスには中毒性がある。
触れていると心臓が壊れるんじゃないかと思うくらいドキドキして……。
でも、彼の体温にはどこか安心感があって……。
やみつきになって離れられない。
お互いを求め合えば、上気して目にじわりと涙が浮かんで。
体の力が一気に抜けた。
「……っと」
片方の手が離されて、腰に添えられ。
なんとか尻もちをつかずに済んだ。
……あ、危ない危ない。
夢中になりすぎるとすぐコレだ。
「ありが──」
お礼を言おうとしたところで、ふわりと感じる浮遊感。
私の体は浮いて……彼に抱きかかえられていた。
それから奥のソファまで運ばれて。
私は、そのソファの上に寝かされるようにおろされた。