月夜に笑った悪魔


***


まっくらな空の下、響き渡るバイクのエンジン音。
車内から見えるのは、たくさんの人が楽しそうにバイクを走らせる後ろ姿。



黒い特攻服、彼らの背中には金の刺繍で“夜桜”の文字。





みんな輝いて見えていたが、その中でも圧倒的存在感を放つのは……彼らの頂点にに立つ、“夜桜”総長、一条暁。




彼の背中の刺繍は、ほかの人と少しだけちがう。
“夜桜 二代目総長”の文字と、桜の刺繍。



彼はいつも以上に笑っていて、すごく楽しそう。
……目が離せない。




補習をちゃんと受けたあとの放課後、夜桜の倉庫に私は連れていかれて。倉庫に着くなり大勢の人が集まっていたから、最初はすごく緊張していたけれど。

今日は本当に来てよかった。
そう心から思う。



これは、“暴走”というらしい。
定期的に行っているらしいけど、私ははじめて見た。
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