月夜に笑った悪魔
夜の海はまっくろだけど、月に照らされてきれい。
私の気分がよければもっときれいに見えただろう。
あと、この寒さもなければな……っ。
夜風はやっぱり冷たくて、肌寒い。
だけど、夜桜のメンバーはみんなはしゃいでる。
風が吹いてるのに、靴を脱いで海にまで入ってる。
ものすごく元気だ。
……すごいなぁ。
その様子を見ていると、パサっと急に肩にかけられたもの。
「これ着てろよ」
振り向くと、そこにいたのは暁。
彼は、自分が着ていた特攻服を脱いで私にかけてくれた。
温かい、けど……特攻服、私が着てもいいのかな。
これはきっと、というか絶対、暴走族にとってとても大切なものだろう。
それを簡単に私に貸してもいいのか。