月夜に笑った悪魔
……まぁ、総長自ら貸してくれたからいいのかな?
「車酔いしたんだって?膝も貸してやろうか」
暁は貸したことなど特に気にする様子もなく、私の隣に腰をおろして自分の膝をぽんぽん叩く。
私が車酔いしたこと聞いたんだ。
膝を貸すってことは、膝枕してくれるってことだろう。
気持ちはありがたいけど……さすがに外だし、みんないるし。
「ありがと……でも膝は大丈夫」
「無理すんなって」
断った瞬間、肩に手がまわって強く抱き寄せられ。
肩と肩が触れて、密着状態に。
肩に置かれた温かい手。
彼を見れば、至近距離で目が合う。
心臓がドキリとした。
こうして近くで見ると、また今日の学校でのことを思い出してしまうから。
……今日は、これでもかというくらいたくさんキスマークをつけられた。
胸元とお腹のキスマークはボタンをとめれば簡単に隠せたけれど。
足と首筋に付けられたキスマークを隠すのには苦労した。