月夜に笑った悪魔
まず足のキスマーク、これはスカートの丈を限界まで長くしてやっと隠せるレベル。
一応隠せはしたんだけど、うちの学校は校則が緩いからスカートが短い人が多く、1人だけこんなに丈が長くて恥ずかしかった。
首筋のキスマークはというと……保健室で絆創膏をもらって、それを貼って隠してる。
近づいてくる暁の整った顔。
私はすぐに両手で彼の前に盾をつくった。
「……ダメ」
……このままだったら、キスされると思った。
こんなところでしたら、誰かに見られるかもしれない。
見られたら……恥ずかしすぎる。
暁は、恥ずかしいとかそういう感情はないのかもしれないけど!
「そんなじっと見てくるから、キスしてほしかったのかと」
彼はふっと笑う。
「ち、ちがう……っ!」
「じゃあなに?見とれてた?」
「…………」
見とれてた、というのもまちがいではない。
暁の顔はいつもかっこいいから、つい見てしまう。
「つーか今日の暴走で、俺のこと“かっこいい”って言ったってマジ?惚れなおした?」
迫り来る暁。
私のあの呟き、千梨は本当に暁に伝えたようだ。