月夜に笑った悪魔
不穏な影
「知ってる?ここらへん、出るって」
夜桜のメンバーたちが先に帰って、広い海に私と暁の2人だけになって。
ヘルメットを被せられて、暁のバイクに乗せられたところで聞こえてきた声。
「え?出るってなにが?」
急なことにわけがわからず聞いてみれば……
「オバケ」
答えは、まさかの。
そんな声が耳に届いた瞬間に強い風が吹くから、恐怖で鳥肌が立った。
「……は、ははっ。冗談だよね?」
わざと笑ってみるが、彼は笑うのみ。
余計怖くなってくる。
……え?
なにさ、その笑いは……。
本当にただの冗談だよね?
そうだよね!?
結局ほんとのことは教えてもらえず、走り出すバイク。
私はやっぱり怖くて強く彼に抱きついた。
もう、いろいろ怖い。
バイクに乗るのも慣れないし、スピード出てるし、オバケは怖いし……。
それに、来る時は夜桜の暴走を見ていたからぜんぜん気にならなかったけど……。
ここの海の近くにはあまり建物がなく、森が多く目に入る。
そして、車の通りがあまりなくて静か。
それが余計に私の恐怖心を強くさせる。