月夜に笑った悪魔
「…………」
彼は私が指さしたところを見つめて、何も言わない。
恐怖は増すばかり。
き、聞こえてないの、かな……?
「あ、暁……」
もう一度声をかけてみる。
すると。
「最近、いるんだよ」
呟くように聞こえてくる言葉。
なんだか、意味深な言葉。
……いる?
いる、って……?
気になるから聞きたい。
でも、怖くて聞きたくない。
でもでも、ここで聞かなかったら今日1日寝られない気がして……。
「な、なにがいるの……?」
小さな声で聞いてみた。
ドクドクと早く動く心臓。
彼の次の言葉を待つと……。
「月城組」
低い声が落ちてきた。