月夜に笑った悪魔


「……え?」



予想外な答え。


オバケだとは言われなくてよかったけど、それも安心できない。

なんで月城組がいるんだ……。



「潜入捜査した時に、おまえが接触したクスリ売ってた男いたろ。そいつ捕らえた時に口割らせたら、あれは月城組に頼まれてやってたらしい」



それを聞いて思い出す、潜入捜査。


クスリを売っていた小太りの男性に私は近づいたっけ……。
……あの人、月城組に頼まれたからあんなことしてたんだ。



「クスリの販売者は何人もいるらしくてさ。月城組は一条組のシマで、俺たちの目を盗み……こうやってひとけのないところにクスリを販売してくれるやつを呼び出して、クスリやら報酬金やら渡してる」


聞こえてくる声のトーンは低く、怒りが込められている。



その言葉でなんとなくわかった。


私が見た人影は、もしかしたら……月城組の可能性が高いということ。


こんなところ、普通の人なら滅多に来るものじゃないと思うし……。

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