月夜に笑った悪魔


そこでおろされるとヘルメットをとって、彼はバイクを押して森の中へと足を踏み入れる。



真っ暗な森。
当たり前だけど、街灯もなにもない。


私には真っ暗でぜんぜん見えないけど、暁は普通に歩いてるから見えているのだろうか。



「置いてくぞ」


彼は振り向いて私に声をかけるから、置いていかれないように彼の裾をつかんで歩いた。


「足元、気をつけろよ」
「……うん」




そうして少し歩いたところで立ちどまり。
彼はバイクをとめると、




「危ないかもしれねぇし、ここで待ってる?」


振り向いて私を見た。



待ってる、って……この真っ暗な森の中で?
1人で?


私はブンブン首を横に振って、「一緒に行く」と即答。





「じゃあ絶対俺から離れんなよ。約束な」
「……うん」


こくりと頷く。

それを確認した暁は、私の手を強く握り。
歩き出すから、私は後ろをついて行く。

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