月夜に笑った悪魔


森を出るのではなく、ゆっくり奥へと進む彼。


もし月城組だった場合、ひと通りのない道路を歩いたらすぐに見つかってしまうから……このまま森の中を通ってこっそり木造校舎へと近づくのだろう。




夜の森は不気味。
この中こそ、なにかこの世のものではないものが現れそう。



怖くてきょろきょろまわりを見る。
暗くてよくわからないが、私の目にはまだそれらしきものは見えない。

……今のところ。



暁の手を強く握ると、さらに強く握り返してくれる。
彼の手は、すごく温かい。



そして歩いているうちに見えたのは……木造校舎。


近づいていくにつれて、嫌なオーラも強く感じる。



……あの人影は私の見間違いで、あそこには誰もいないことを願おう。

< 344 / 615 >

この作品をシェア

pagetop