月夜に笑った悪魔



***


外観からでもわかっていたが、やっぱり木造校舎の中も古く。
歩くたびに床が軋む。


忍び足で行こうとしても、やっぱり軋む音がしてしまって音を立てないなんて無理だった。


つまり、足音で誰かが来たというのは筒抜けになってしまうということ。




暁は立ちどまり、耳を澄ます。
表情は、真剣そのもの。


彼の右手には私の手が握られていて、反対の手には拳銃。




月城組がいるとしたら……いつ、どこで何が起こるかわからない。

だから常に緊張感と恐怖で心がいっぱい。



私も耳を澄ますけれど、今のところなにも聞こえてこなくて。



手を引かれ、またゆっくり進む。


歩くのは廊下の端っこの、教室がある側。
各教室があって、扉の手前で彼はまた立ちどまって教室内を確認。


そして誰もいなければ、次の教室へ。

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