月夜に笑った悪魔
その音は、ゆっくりこちらに近づいてくる。
さ、さっき外で見かけた男性かな……。
それとも、その人とはまた別の人?
……私たちがここに入ったこと、バレた!?
できるだけ息を殺して見つからないようにする、けれど。
どうしても緊張で大きく鳴ってしまう心臓の音。
どうか聞こえませんように、と願うことしかできない。
やがて足音がすぐ横を通って……。
通り過ぎる後ろ姿が見えると、暁は。
「動くな」
隠れていた扉の後ろから出て、通り過ぎた人物の頭に銃を突きつけた。
銃を突きつけられて、ピタリととまる人。
その人の手には懐中電灯と大きな鞄が握られているから……この人は、さっき外で見たあの男性。
「ライト消して両手あげろ。変な行動したら即撃つ」
暁の低い声。
その声を聞いた男性はカチッとライトを消して、両手をあげた。