月夜に笑った悪魔


その音は、ゆっくりこちらに近づいてくる。



さ、さっき外で見かけた男性かな……。
それとも、その人とはまた別の人?

……私たちがここに入ったこと、バレた!?





できるだけ息を殺して見つからないようにする、けれど。
どうしても緊張で大きく鳴ってしまう心臓の音。



どうか聞こえませんように、と願うことしかできない。






やがて足音がすぐ横を通って……。


通り過ぎる後ろ姿が見えると、暁は。








「動くな」



隠れていた扉の後ろから出て、通り過ぎた人物の頭に銃を突きつけた。



銃を突きつけられて、ピタリととまる人。

その人の手には懐中電灯と大きな鞄が握られているから……この人は、さっき外で見たあの男性。



「ライト消して両手あげろ。変な行動したら即撃つ」



暁の低い声。
その声を聞いた男性はカチッとライトを消して、両手をあげた。


< 350 / 615 >

この作品をシェア

pagetop