月夜に笑った悪魔
森の中、薄暗く光るスマホの画面。
幸いすぐに見つかって、私はそれを手に取ると。
聞こえてきたのは──……バイクと車のエンジン音。
それは猛スピードで近づいてきて、すぐ近くで停車。
眩しいライトがこの場を照らした。
「暁!美鈴ちゃん!」
「2人とも無事!?」
聞こえてきた声は、よく知る人の声。
ヘルメットをはずしたのは、吉さんと蒼真。
そして車からおりてきたのは、春樹さんと十、絵音、それと黒服姿の一条組の組員が数人。
「暁が……っ!びょ、病院に……」
精一杯、大きな声で伝えようとするがうまく言葉が出てこない。
「暁!!」
「大丈夫か!?」
暁の元に数人駆け寄って、彼はすぐに抱きかかえられると車に乗せられる。
その時に見えた暁は、うっすらと意思がある状態。
顔色がとんでもなく悪くて……不安は募るばかり。