月夜に笑った悪魔


「いいよ」


優しく返してくれたのは、蒼真。
私はごくんと息を呑んでから、ゆっくり口を開いた。


「月城岳が言ってたの。一条組と月城組は昔は仲が良かったのに……ある日、一条組が月城組を裏切った、って。それって……どういうこと?本当なの?」


次になんて返されるのか、ドキドキしながら待っていると。



「俺たちがものごころついた頃には2組の仲は今みたいに悪かったから、話を聞いただけだけど……一条組と月城組の2組は、組ができたばかりの頃から仲が良かったらしいんだ」


返ってきた言葉は、驚くものだった。



……そんなに昔から、だったんだ。
組には歴史がありそうだし、何十年前だろう……。


「組ができたばかりの2組は五分の盃も交わしていて、頻繁に交流があったみたいでね。暁の父親である現一条組組長と、月城岳の父親である現月城組組長は、生まれた頃から仲良くしていたらしい」


真剣に話す蒼真。
話は驚くものばかり。
< 388 / 615 >

この作品をシェア

pagetop