月夜に笑った悪魔
「2人は学校もケンカをするのもいつも一緒で……俺たちの父親と出会い、中学生で暴走族“夜桜”を創設したんだ。
写真で見せてもらったけど、組はちがくても本当に仲が良かったみたいだよ。……その、数年は」
付け足された言葉は意味深な言葉。
ここから……関係が崩れてしまうんだ。
「お互いが組長になって数年たった頃に、月城組の組長は……組を大きくすることばかり考えて、クスリに手をつけてしまったんだ。
そういうものには手を出さない、と決まりがあったのに」
以前、一条がクスリには手を出さないこと、それを許さないことを聞いた。
それを聞いたのは、潜入捜査の時だったか。
昔からの決まりごとだったんだ。
「クスリに手を出してしまって、おかしくなっていったんだよ。異変に気づいた時には、もう遅かった。
うちの組長は、それをなんとかとめようとしたんだけど、もうぜんぜん声は届かなくて……一度、刃物で刺されたんだ」
聞いているだけで、心臓が早く動く。