月夜に笑った悪魔
……“関係ない”ってなんだ。
私は、暁の彼女であり婚約者じゃん。
暁は……私の好きな人だよ。
確かにヤクザのことはよくわからないし、私はなにもできないし、暁の痛みをちゃんと深くはわかってあげられないけど……気にするのもダメなの?
私にはその権利すらないの?
……私たちって、そんなに薄っぺらい関係だった?
ムカついて、またまた近くのクッションを手に取って。
「……暁なんてやっぱり世界で1番大っ嫌いだ、バカっ!!」
大きな声を出して、私は彼に向かって投げた。
でもそれもやっぱり彼に受け止められ。
走って病室の扉に手をかける。
すぐに出ていこうとしたが、後ろからガタっと聞こえてきた音。
振り向けば、暁は立ち上がろうとしていた。
「来ないで!!ちゃんとケガ治るまで病院にいなかったら……絶交するから!!」
このままでは追ってきそうだから私は強く言って、今度こそ病室を出て。
春樹さんの車に乗って、即帰宅。
この日の夜は早く寝ようと思ったのだが、ぜんぜん眠れなかった。
それはぜったい、暁のせい。