月夜に笑った悪魔



「美鈴さん、病院行きましょう」


私が測ったばかりの体温計を見て、そう言った春樹さん。

体温計に表示されていた数字は、【38.0°C】。



「……大丈夫。寝たらなおるから」


寒気を感じて、私はまた自分の布団の中へと潜る。


「ちゃんと薬もらったほうが早くなおりますから」
「……大丈夫だって」



私は、絶対に病院に行きたくなかった。
理由は、行く病院は……暁がいる、あの病院の可能性が高いから。


思い出すだけでもムカつくから、暁にはまだ会いたくない。


「……では、少しでも熱が上がったら病院に行きましょう」


病院に行くことを拒否していると、春樹さんはそう言ってくれて。
冷却シート持ってきます、と立ち上がる。

< 409 / 615 >

この作品をシェア

pagetop