月夜に笑った悪魔
「美鈴さん、病院行きましょう」
私が測ったばかりの体温計を見て、そう言った春樹さん。
体温計に表示されていた数字は、【38.0°C】。
「……大丈夫。寝たらなおるから」
寒気を感じて、私はまた自分の布団の中へと潜る。
「ちゃんと薬もらったほうが早くなおりますから」
「……大丈夫だって」
私は、絶対に病院に行きたくなかった。
理由は、行く病院は……暁がいる、あの病院の可能性が高いから。
思い出すだけでもムカつくから、暁にはまだ会いたくない。
「……では、少しでも熱が上がったら病院に行きましょう」
病院に行くことを拒否していると、春樹さんはそう言ってくれて。
冷却シート持ってきます、と立ち上がる。