月夜に笑った悪魔
……行った、よね?
ゆっくり目を開けようとした、その時に。
ヒヤリ。
前髪がどかされて、おでこに貼られた冷たいもの。
これは……冷却シート。
冷たくて、ぎゅうっと目を強く瞑ると頭をぽんぽん撫でられた。
この手は、暁だ。
……まだ、いる。
気配もなにも感じなかったから、もう行ったかと……。
相変わらず気配を消すのが上手すぎる。
「美鈴」
落ちてくる声。
名前を呼ばれても、私は無視を続行。
早く出ていってほしくて、ゴロンと寝返りを打って彼に背中を向けた。
そうすると、暁は布団を捲って。
何かと思えば、彼も中へと入ってきた。
そして彼も隣に寝転ぶと、布団をかぶり。
大きな手は私のパジャマの下へと滑り込んで……。
「……あっつ」
素肌に触れると、すぐ後ろで聞こえてくる声。