月夜に笑った悪魔
「美鈴さん!そんなに走ったら──」
「春樹さん、客室借りる!暁には言わないで!」
途中ですれちがった春樹さん。
声をかけられたけれど、私は全速力で走り。
とまることなく、たまにしか使われていない客室へ。
ただこの部屋にいてもすぐに見つかることまちがいなし。
……どこかに隠れないと。
きょろきょろとまわりを見るけれど、この部屋にはなにもない。
目に入ったのは押し入れ。
そこを開ければ……ちょうど隠れられそうなスペースを発見。
中には布団もあって、使えそう。
私は押し入れの中へと入り、布団を被って。
そっと押し入れの襖を閉めた。