月夜に笑った悪魔
最初はまわりにもその噂のことを否定していたんだが、それはやっぱり信じてもらえず。
今ではめんどくさくなってなにも言い返していない。
だから学校中に噂が広がり、私はいつも1人。
いつしかそれを悲しいとは思わなくなったけど……暁と学校で一緒にいれば、暁までまわりからよく思われなくなるんじゃ?
暁には友だちくらいいるよね?
彼の評判まで下げないように、他人のフリでもしたほうがよさそう。
学校内で近づかないようにしようっと。
私はうんうんと頷いて、心に決めた。
そのあとに思ったのは……
考えれば考えるほど、わからない謎のこと。
本当に、暁は私なんかのどこを好きになったのか。
私、やっぱりいいところなんてなくない?
悪いところしか見せてなくない?
昨日、“好き”って言われたけどさ……。
暁のお嫁さんになるって決めたけどさ……。
やっぱり謎すぎて、つい考えてしまう。
あの瞳に嘘は感じなかったけど、本当はアレは嘘だった?
でも、仮に嘘だったとして暁はなにがしたいのか……。私で遊んでるだけ?
それとも、そもそも“好き”って言われたのが夢だったりする?
学校に到着するまで、私はずっと頭をフル回転させて考えていたが、本当のことはさっぱりわからなかった。