月夜に笑った悪魔
「じゃあ、俺はバイト行ってくるから!じゃあな!」
私の手を離すと、ひらひらと手を振っていく隼人。
……えっ。
もう行っちゃうの!?
この子たち、私もだれだかわからないのに!?
「待っ──」
私が引きとめようとしても遅く。
隼人は猛スピードで走っていった。
遠ざかる後ろ姿。
足がはやすぎて、すぐに見えなくなる。
こうして、この場に残ったのは3人。
1番最初に口を開いたのは、女の子だった。
「おねーさんが、ほんとうに一条組のお嫁さんなんだよね?」
女の子の口から確かに出た言葉。
その言葉に私は耳を疑った。
“一条組”、なんて。
……なんで知っているのか。