月夜に笑った悪魔
「そ、そうだけど……」
小さく答えると。
「はじめまして、わたしは月城 未玖(つきしろ みく)!それで、こっちは双子の弟の……」
女の子はぺこりと頭を下げて。
ちらりと後ろにいる男の子を見ると、その子に向かって「あいさつして!」と声をかけて手を引っ張って隣に誘導。
「……つ、月城 巧(つきしろ たく)です」
男の子はおずおずと後ろから出て来ると小さな声を出し、ぺこっと頭を下げるとすぐにまた女の子の後ろへと隠れた。
今、この2人は“月城”と言ったのを聞き逃さなかった私。
それを聞いて、思い当たるのはひとつしかない。
──月城組。
月城組だとしたら……私が一条組の嫁だと知っているのにも頷ける。