月夜に笑った悪魔
もう、授業開始だ。
「おねーさん、わたしたちあんまり外にいると組の人に見つかっちゃうかもだから……今日はかえるね。
あと、かえるまえにこれわたしておくね。わたしのれんらくさきだよ」
2人は私から離れ、女の子がショルダーバッグの中から取り出した1枚の紙。
それを私に手渡して。
見てみると、そこに書かれていたのは電話番号とメールアドレス。
「わかった、あとで連絡する。よろしくね……未玖ちゃんと、巧くん」
受け取ったものをなくさないように、私はすぐにスカートのポケットの中へとしまった。
そうした時のことだった。
──それは、本当に一瞬の出来事。