月夜に笑った悪魔



確かにいる。
なんで、和正がここに……。



和正は月城組で……。
なんで……未玖ちゃんと、巧くんにもこんなことを。





「……美鈴、久しぶり。一条組では元気にしてた?」



バックミラー越しに目が合って、和正が口を開く。

彼の口角が上がっていて、ゾクリとした。



優しいトーンだが、恐怖を感じる声。
……和正の裏の顔を知ってしまったから。


あの優しいのは、ぜんぶ演技だったんだ。



「って、それじゃ話せないか。まぁ、とにかく元気に生きててくれてよかった。
おかげで一条組と月城組を、同時に潰すことができるからさ」



和正は大きな声で笑うと息をひとつついて。






「思い出すだけでも許せねぇ……。一条暁、あの男……俺をあんなにしやがって。月城岳も……あれから俺をコケにしやがって……」




急に、低くなる声のトーン。

< 449 / 615 >

この作品をシェア

pagetop