月夜に笑った悪魔
確かにいる。
なんで、和正がここに……。
和正は月城組で……。
なんで……未玖ちゃんと、巧くんにもこんなことを。
「……美鈴、久しぶり。一条組では元気にしてた?」
バックミラー越しに目が合って、和正が口を開く。
彼の口角が上がっていて、ゾクリとした。
優しいトーンだが、恐怖を感じる声。
……和正の裏の顔を知ってしまったから。
あの優しいのは、ぜんぶ演技だったんだ。
「って、それじゃ話せないか。まぁ、とにかく元気に生きててくれてよかった。
おかげで一条組と月城組を、同時に潰すことができるからさ」
和正は大きな声で笑うと息をひとつついて。
「思い出すだけでも許せねぇ……。一条暁、あの男……俺をあんなにしやがって。月城岳も……あれから俺をコケにしやがって……」
急に、低くなる声のトーン。