月夜に笑った悪魔


ポケットの中へと手を入れようとするが、私は現在浴衣を着ていることに気づいて。


ぱっと暁から離れて部屋を見れば、枕元にあったスマホと畳んである制服。



制服のスカートのポケットの中に連絡先をしまったような気がする。
あの中になかったら……かなりやばい。


未玖ちゃんたちと連絡がとれなければ作戦もたてられないし、月城組の様子も知ることができない。



私は枕元の制服へと手を伸ばす、が。
……暁の隣に移動したここからでは手は届かず。



手を、離すしかない。

いつから握ってくれていたのかわからない手。
その手を離すのは心苦しい、けれど。


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