月夜に笑った悪魔
ごめん、と心の中で謝ってから彼の手を自分のほうへと持ってきてキスをひとつ。
それから手の力を緩めて、離れようとすると……ぎゅっと強く手に込められた力。
手が、離せない。
起きたのかと思ったが、彼の目は閉じたまま。
寝ぼけてやっているのだろうか。
……かわいい。
こんなことされたら離れたくないよ。
でも、連絡先があるかの確認だけでもしておきたいし……。
本当にごめんね、暁。
もう一度心の中で謝って、私は暁に顔を近づけた。
そして、重ねた唇。
すぐに唇を離そうとした時に……ぱちりと開いた目。
至近距離で目が合って、びっくりして動けなくなった。