月夜に笑った悪魔
「ここ座れよ」
彼はソファの隣をぽんぽん叩く。
まるで、自分の部屋みたいにくつろいでる。
ここ、学校だよね?
勝手に入ったり、冷房つけたりして大丈夫なの?
っていうか、普段はここの鍵閉まってるはずじゃ?どうやって鍵を手に入れたの?
そんな疑問を持てば、
「社会科のセンセーが親戚で、鍵もらってる」
彼は私が考えていることがわかったのか、鍵を見せた。
社会科の先生が、親戚!?
衝撃的な言葉にびっくり。
「早く入れば?あ、鍵は閉めとけよ」
その言葉ではっと我に返り、私は中へと入り言われたとおり内鍵を閉めて。
奥のソファへと行き、彼の隣に腰をおろした。
この学校にいる、暁の親戚の先生っていったい誰なんだろう……。
そもそも私って、暁のこと知らなすぎるような……?
家族構成とか、血液型とか、趣味とか、なにを考えているのかとか……まったく知らない。
それに、なんか忘れかけてたけど……!
暁が一条組の若頭なら、さらに上の位の“組長”が一条組にはいるはずなんだよね!?
その人に許可も挨拶もなく、私があの家にいてもいいものなの!?