月夜に笑った悪魔
「ねぇ!」
これはかなり大切なことのため、すぐに聞こうと隣を見る。
「ん?」
彼は持っていたパックの飲み物のストローに口をつけながら、私と目を合わせた。
パチッと目が合うと、目に入った彼が手にしている飲み物。
すぐに口を開こうとしたが、私は思わずそれを二度見。
「フルーツ牛乳……?」
それから、言おうと思っていた言葉とはまったくちがう言葉が口から出た。
彼が、あまりにも似合わない飲み物を持っていたから。
……彼が持っていたのは、フルーツ牛乳。
「欲しーの?」
じっと見ていれば、私にずいっと近づけられるパック。
そのストローには、噛み跡。
ストロー噛む派なんだなぁ、とぼんやり思ったり。
「あ、いや、飲みたいとかじゃなくて……なんか似合わないものを飲んでるなぁと思って」
勝手なイメージだけど、暁はブラックコーヒーを飲んでいるようなイメージがあった。
甘いものとか嫌いそうな顔してるし……意外すぎる。