月夜に笑った悪魔


「いい加減わかって……!!暁を大切に思ってる人たちは、暁のことを人殺しにしたくないと思ってるの!!暁が大切だから、幸せになってほしいと思ってるんだよ……っ!!」


両手で強く彼の手を握った。
……思いが少しでも伝わるように。



「確かに、されたことはそう簡単に許せることじゃない。でも……暁が、同じことをしたらだめだよ。
月城岳の双子の姉弟は、月城組組長と月城岳のことを大切に思っていて、私と同じように戦いをやめてほしいと思ってるの……。

ひどいことをした人でも、その人のことを大切に思ってる人たちがいるんだよ……」



握った手から伝わってくる強い力。
暁は口を開きかけるから、私はまた続けて口を開いた。


どうか、最後まで伝えさせて……。



「ここで暁が殺したら、あの双子にも暁と同じ苦しみを味合わせることになるんだよ……。

痛くて苦しい気持ちにずっと囚われて……もしかしたら復讐を望んでしまうかもしれない。大切な人を殺されたから、今度はあの双子が暁を殺しに来るかもしれない。

そうやって、ずっと……復讐の連鎖は続いていくの。とまらないんだよ、暁……」

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