月夜に笑った悪魔


「暁……暁は、まだとてつもなく痛くて苦しいかもしれない。でも、どうか……もう復讐を考えないでほしい。
難しいこと言ってるって、暁にとってはすごく苦しいことだってわかってるけど、お願い……」
「…………」


「私は暁が好きだよ。心から大好きで、ずっと一緒にいたいし、幸せになってほしいと思ってる……。っていうか、私がたくさん暁のこと幸せにするから……」



お願い。
私が願うのは、暁の幸せ。


暁は、幸せになるべき人なんだ。
だから、どうか……。



暁は、口を閉じたまま。
苦しそうにして、考えている表情。


私の思いは伝わるのか、また怒られてしまうのか……緊張しながら待っていれば、彼はゆっくり口を開く。






「この痛みはどこにぶつけたらいい……。ずっとずっとあいつらを恨み続けて、ぶっ殺したかったのに、俺はどうすればいい……」




苦しそうな顔。
辛そうな声。


……こんな暁は、はじめて見た。
はじめて、見せてくれた。

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