月夜に笑った悪魔
「辛い時は私に寄りかかって……。私は、いつでも暁を受けとめるから……」
こんなことしか言えない。
暁の苦しみ、辛さ、憎しみを、今すぐ取り除いてあげることは悔しいけどできないから……。
……悔しい。
暁の気持ちを、少しでも楽にしてあげたいのに……。
私は彼の頬から手を離して、今度は背中に手をまわし。
強く抱きしめた。
「……本当は、わかってた」
耳元で聞こえてきたのは、弱々しい声。
「蒼真や吉たちに何度も言われて、美鈴にも言われて……復讐を望むのはよくねぇってわかってはいた」
続けて話す彼に、私はさらに強く抱きしめて小さく頷いた。
……前からわかってはいたんだ。
それでも、暁は……。