月夜に笑った悪魔
深い闇


未玖ちゃんからもらった連絡先にメールを送った。
一条組がもう争う気はないと言うメッセージと、私の電話番号を添えて。



メールを送信してから1時間ほどたったが、まだ返信はなく。
スマホをこまめにチェックしていると、左肩にズシッとした重みが。




寄りかかってきたのは、暁。

寄りかかって、とは言ったけど……。
遠慮なく全体重をかけられて、私は支えきれないかもしれない。



現在、どこにいるのかというと、病院の待合室。
暁を説得して、そのあとは暁のお父さんの病室で今後のことを少し話して……今に至る。


結局、暁のお父さんは今日退院することになった。
みんな反対したのだが、やはり月城組のことに関しては組長が不在というわけにはいかなくて……。


今はその退院の手続きが終わるのを待っている私たち。


ここは病院で、待合室で、ほかにも人はいるのに全く気にしていない暁。




「暁……、重い」


病院内は静かで、私はそっと小声で彼に言った。
……でも。


「俺のことぜんぶ受けとめてくれるんじゃねぇの?」


彼は少しもやめてくれない。

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