月夜に笑った悪魔
「み、見ないで……」
余計に恥ずかしくて下を向く、が。
「かわいー顔、もっと俺に見せて」
暁は顔を近づけて、じっと見てくる。
また、そんな言葉をさらっと言って……。
……本当に、なんてずるい男だ。
ちょっと油断すればすぐドキドキさせられるんだから。
「……っ」
体は熱くなるばかり。
強く手を握ると、彼はそれ以上の力で手を握り返してくれて。
そんなことをしていると、
「さっ、帰ろうか」
暁のお父さん──暮人さんは、良典さんに体を支えられながらこっちまで来た。