月夜に笑った悪魔
これは、昨日のうちに気づくべきだった。
もっと早く気づいて行動すべきだったのに……。
私は大丈夫だろうか。
これこそ、失礼すぎて狙撃されそうじゃない……?
「俺の親父──組長は、特に反対しねぇだろうから大丈夫だって。ほかのやつには話してあるし、そこは心配すんなよ」
心配していれば、かえってきた返事。
……暁のお父さんが組長なんだ?
“反対しねぇだろうから”っていうのは……予想?直接言ったわけじゃないの?
「今度、私から挨拶したほうがいい……?」
「組長はいま家にいねぇから、今度な」
「……そうなんだ」
家にいないんだ。
……じゃあ、とりあえず今は大丈夫そう?
「ほかには?もっと聞きたいことねぇの?」
お弁当を食べる箸を進めながら聞いてくる彼。
本当になんでも答えてくれる気なんだ。
「血液型は?」
遠慮なく、次の質問。
「O型」
答えが返ってくれば、どんどん質問。
「兄弟いる?」
「いねぇ」
「好きな食べ物は?」
「甘いもんならわりとぜんぶ好き」
「好きな色は!」
「黒」
「趣味は?」
「これといって特にねぇ」
続けて質問をしたかったが、すぐには思いつかない。