月夜に笑った悪魔
少し苦しそうに聞こえてくる声。
……痛いくらい、伝わってくる気持ち。
「失うかもって少し考えるだけでも本当に怖いのよ……。だから、岳様には申しわけないけど……あなたたちについたの」
紫乃も……同じ気持ちだ。
みんな大切な人がいて、傷ついてほしくないと思ってる。
「……その気持ち、ぜんぶ信じるよ」
私は暁の手を強く握って、前を向いた。
そして。
「ところで……そっちでは、なにが起きてるの?抗争の日は、明日のはずだったよね……?」
抗争をするという1日前の今日から月城組に動きがあるということは、なにかそっちでよくないことが起きていることは確実。
聞きたかったことを恐る恐る聞けば、この場の空気が少し重くなるのがわかった。