月夜に笑った悪魔
「これから、あなたたちを一条組の家に送るわ。私たちはそのあとに岳様たちのところに向かう。こうなってしまえば組長や岳様でないととめることは不可能だから……。
月城組のことはこっちでなんとかするから、あなたたちはできるだけ動かないでほしい」
強く言われて、早くなる車のスピード。
「…………」
本当に私はそれだけでいい、のだろうか。
だからといって私が月城組に行ってもできることなんてないのかもしれないけど……。
「あの悪魔、一条暁をとめたあなたはすごいわ。だから、私たちももっとがんばるから。なんとしてでも、ぜったいに月城組をとめてみせる」
さらに強く言われる。
バックミラー越しにまっすぐな瞳と目が合えば、なにも言えず。
私はこくんと頷いて、車に揺られていた。