月夜に笑った悪魔
向かう先



数十分ほど車に乗っていると、未玖ちゃんと巧くんがこそこそ話す姿が目に入った。


巧くんが未玖ちゃんの肩を叩いて、なにかを耳元で話して……。
そのあと、口を開いた未玖ちゃん。


「シノ……」
「どうしました?」


少し離れていても、紫乃はすぐに反応。




「あのね……巧がトイレ行きたいって」


少し申しわけなさそうに言う未玖ちゃん。
隣では、巧くんは下を向いている。


こそこそ話していたのは、そのことだったのか。
急いでいるこの状況では、なかなか言い出しづらかったのだろう。



「コンビニだと目立ってしまうかもしれないので、近くの公園でもいいですか?」


紫乃は少し考えたあとにそう言うと、未玖ちゃんたちは大きく頷いた。

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