月夜に笑った悪魔
頭の中にずっとひとつの疑問はあるけど、これは直接聞くのはなんだか恥ずかしいし……。
『私のどこが好きなの?』なんて、聞けるわけないよ……。
「おまえが眠れなかった理由って、元カレのこと考えてたからだろ」
考えていれば、聞こえてきた声。
「へ?」
そんなことを急に聞かれるなんてまったく予想していなくて、間抜けな声が漏れた。
数秒後に言われたことを理解して、心臓が大きく跳ねる。
きゅ、急になに!?
なんでそんなこと聞くの!?
なんで、そんなことわかるの!?
「当たりか」
言い当てられてなにも返せないでいれば、彼は確信する。
「……な、なんでわかるの」
「目が腫れてるから。泣いてたんだろ」
「…………」
それは今朝、私を見た時からわかっていたんだろうか。
言わなかっただけで……。
……なんて鋭すぎる男なんだ。