月夜に笑った悪魔


頭の中にずっとひとつの疑問はあるけど、これは直接聞くのはなんだか恥ずかしいし……。

『私のどこが好きなの?』なんて、聞けるわけないよ……。










「おまえが眠れなかった理由って、元カレのこと考えてたからだろ」



考えていれば、聞こえてきた声。


「へ?」


そんなことを急に聞かれるなんてまったく予想していなくて、間抜けな声が漏れた。


数秒後に言われたことを理解して、心臓が大きく跳ねる。


きゅ、急になに!?
なんでそんなこと聞くの!?
なんで、そんなことわかるの!?





「当たりか」


言い当てられてなにも返せないでいれば、彼は確信する。


「……な、なんでわかるの」
「目が腫れてるから。泣いてたんだろ」


「…………」


それは今朝、私を見た時からわかっていたんだろうか。
言わなかっただけで……。


……なんて鋭すぎる男なんだ。
< 55 / 615 >

この作品をシェア

pagetop