月夜に笑った悪魔



そうすると……。

閉じていた瞳が、ゆっくり開いた。



「暁……っ!」


暁に麻酔を打って、まだ数十分。
まだまだ目覚めないと思っていたけど、まさかこんなに早く起きるとは……!




また目を閉じかけた彼だけど、私を確かに視界に捉えると、ぱっちり目を開く。


彼はぐっと体に力を入れて起き上がろうとするが、またシートに背中をつけた。


こんなに早く目が覚めても、まだ麻酔の効力は残っているんだろう。
本来なら、2、3時間起きられないはずだから……。




「……っ」


彼と目が合って、私はすぐに抱きつく。



とりあえず、起きてよかった……。
無事でよかった……。


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