月夜に笑った悪魔
暁が起きたというその安心感のせいか、こぼれ落ちそうになる涙。
それをぐっと堪える。
「……打った?」
耳元で小さく聞こえてくる、彼の声。
打った、というのは麻酔のこと。
私は小さく頷いて、抱きつく腕に力を込めた。
「ごめんね……」
「……悪かった。殺すこと考えんのやめるとか思ったけど、また暴走して……」
「大丈夫。暁が何度暴走しても、私がぜったい連れ戻すから……」
「……ん」
小さく返事が聞こえれば、そのあとに。
「つーか、ここどこ?」と聞かれる。
……そうだ、現状の説明しないと。
病院にいた時に未玖ちゃんの連絡先を知ってると軽く伝えたけど、紫乃のこととかもちゃんと言わないとだし……。