月夜に笑った悪魔


後ろに倒れそうになる体。
伝わってくる、暁の重み。


そうだ……!
私が倒れたら、暁まで……!


私は急いで車内につかまって、なんとか耐えた。
そうしたところで。




「……おい」


暁は、声を出した。
私に話しかけたのかと思ったが、ちがう。


彼は紫乃を見ていて。



「月城岳たちは、今どこにいる」


次に、そう聞いた彼。

……なぜ、そんなことを聞くのか。


「知子(ともこ)様──……組長の奥様がワケあって病院にいらっしゃるから、そっちにいると思うけど……。顔を見てすぐに帰ると言っていたから、もう本家に戻っているかもしれないわ」


運転しながら紫乃は答えると。






「じゃあ、本家行け」


今すぐ、と付け足して言う暁。


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