月夜に笑った悪魔


触れる手があまりにも優しいから……心臓がドキドキと早鐘を打つ。


……なんで、こんなに優しく触れるのか。
……なんで、そんなことをまっすぐに言えるのか。


それじゃまるで、暁は本当に私のこと……本気で好き、みたいじゃん。








「暁って、本当に私のこと好きなの?」


疑問がぽつりと口から出た。
小さな声だったが、それは確かに彼に届いたようで。



「昨日言ったじゃねぇか。まだ信じらんねぇ?
まぁ、言葉が信じられねぇなら行動で信じさせてやるよ」


その言葉で、昨日“好き”って言われたことは夢じゃない、と確信。


本当の本当に、現実で“好き”って言われてたんだ。
……私のどこを好きになって言ったのかはやっぱりわからないし、本当に本気かはわからないところだけど。




私は、そのまっすぐな瞳を少し信じてみたいと思った。

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