月夜に笑った悪魔
伝わる体温。
鼻腔に届くいい匂い。
暁に包まれるのは、ドキドキするけど……戻ってきたっていう安心感がある。
その安心感と同時にくるのは、眠気。
……なんでだ。
さっき起きたばかりなのに、また眠くなるなんて。
充分寝たんじゃないの、私の体……!
「おまえ、まだ寝てろ。傷開くから」
暁に体を預ければ、急に抱きしめられていた腕の力が弱くなる。
眠気に気づかれたのか……。
「……もっと一緒にいたい」
暁が離れようとするから、小さく呟いて私は彼の背中に手をまわした。
強く入らない力。
それでも必死に彼に抱きつく。
「……そういうかわいーこと言うと、病人でも寝かさねぇよ?」
耳元で聞こえてくる声に、心臓がドキッと鳴る。